WIDE 自然の聖域マチュピチュ

マチュピチュ周辺の花と野生蘭
マチュピチュを軸とした高度差約3000mの花 
 マチュピチュ下のビルカノタ川あたりは海抜は約2000m、マチュピチュの南東側にそびえるサルカンタイ峰(海抜6271m)の山麓は海抜約5000m、その高度差は約3000もある。気候的にはマチュピチュあたりは、現地でソナ・テンプラダと呼ばれている湿潤温暖地である。サルカンタイ峰山麓は乾期の朝夕は数℃にも気温が下がる寒冷地になる。それらの高度差や気候差がある世界にさまざな花が咲いている。
 高地ではキク科やリンドウ科が多かった。ロアサ科ロアサの花(03)は、私の初回のアンデスの旅で向かったボリビアのイヤンプ峰直下でも見かけた。アオイ科の花(10)は少し離れたヤナマという峠に咲いていたものだが、もしかしたらサルカンタイ峰か、その近くのどこかにも咲いているかもしれない。この可憐な花は、乾燥した土と岩が混ざったような高地に咲いているところからすれば日本のコマクサに似ている。
 サヤクマルカとかプヨパタマルカなどの遺跡があるインカトレール沿い、西側にあるリャクタパタと通じる峠、また、マチュピチュの南東側にある峡谷アオバンバ川などの灌木帯にさまざまな花が咲き乱れている。
 はじめて雨の季節にマチュピチュ村に出かけたときが忘れられない。川沿いや線路沿いに溢れんばかりに、コベア科コベアの花(22)やトケイソウの花(23)が咲き乱れていたからである。コベア科コベアという名はインカが征服されたのち、ビルバンバ地方で宣教活動を続けたベルナベ・コボの名にちなんでいるという。この地方に住む人たちでコボという名字を持つ人も多い。
 マチュピチュ周辺にも花が多いが、もっとたくさんの花が見れるのは雨期のマチュピチュとウニャイワイナを結ぶインカトレール沿いである。特にウニャイワイナあたりには、アカバナ科の花(18)やキツネノマゴ科の花(19,20)が多い。このあたりやビルカノタ川沿いなどの藪の中にはヘルゴンという毒蛇が棲んでいるので注意が必要だ。

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リンドウ科サルカンタイ峰山麓01

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リンドウ科サルカンタイ峰山麓02

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ロアサ科サルカンタイ峰山麓03

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キク科サルカンタイ峰山麓04

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キク科サルカンタイ峰山麓05

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キク科サルカンタイ峰山麓06

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リンドウ科サルカンタイ峰山麓07

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キク科サルカンタイ峰山麓08

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キク科コスモス霧の稜線09

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アオイ科ヤナマ峠方面10

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ナス科インカ道沿い11

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ツツジ科マチュピチュ上部12

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ツツジ科マチュピチュ上部13

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ヤドリギ科マチュピチュ上部14

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ヒガンバナ科マチュピチュ上部15

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ショウカイドウ科マチュピチュ16

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キク科インカ道沿い斜面帯17

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アカバナ科ウニャイワイナ周辺18

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キツネノマゴ科ウニャイワイナ周辺19

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キツネノマゴ科ウニャイワイナ周辺20

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フウロウソウ科マチュピチュ下部21

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コベア科マチュピチュ駅22

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トケイソウ科マチュピチュ駅23

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キンチャクソウ科マチュピチュ下24

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トケイソウ科マチュピチュの下流域25

野生蘭の宝庫マチュピチュ周辺
 コラム欄の「インカやプレ・インカの風」のところで、マチュピチュや野生蘭について触れている。野生蘭の不思議なところは同じ花であっても、ほかの地方に向かうと色が変わっていたりすることであった、例えば真紅の色をして「雄鶏のトサカ」ともいわれ、マチュピチュやウニャイワイナで多く見られるマスデバリアの一種(01)の同形の蘭は、「聖なる谷間」にあるオリャンタイタンボから峠を越えた谷間でも見られた。だが、この地方にあるものは真紅は見られず、すべてが黄色だった。
 また、マチュピチュ方面にあるエビデンドラムの一種(08)は、総じて赤やピンク色が多かったが、「聖なる谷間」にあるカルカから峠を越えた谷間にあるものはほとんどが黄色だった。
 また、もっとくまなく歩きまわれば断定したことをいいなくなるかもしれないが、ほかの地方に見られず、マチュピチュ周辺で多く目にしたのがエビデンドラムの一種(30)であった。この蘭は海抜3000mを超すインカ道沿いの稜線からマチュピチュ上部あたりの範囲で見られた。同じようにマチュピチュ方面で目にできなかった野生蘭が、ビルカバンバ山脈を貫くインカ道沿いの一カ所で無数に咲き乱れていた。
 マチュピチュ方面でもっとも多くの蘭が見られるのは、花と同じようにマチュピチュからウニャイワイナに通じるインカ道か、またはウニャイワイナ周辺である。ウニャイワイナとは「永遠に若々しい」という意味を持つ。エビデンドラムの一種(08)もウニャイワイナと呼ばれることもある。また、蘭がたくさん咲いていたのが、南西側にあるアオバンバ川という峡谷である。だが、ここに蘭が咲き乱れる雨期に入るのはワイコ(土石流)が発生するので危険だった。

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マスデバリア属01

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ソブラリア属02

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ソブラリア属03

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カトレア属04

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ドラクラ属05

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マクラシア属06

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マクラシア属07

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エビデンドルム属08

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エビデンドルム属09

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プレウロタリス属10

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プレウロタリス属11

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プレウロタリス属12

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マスデバリア属13

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エレアントゥス属14

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エレアントゥス属15

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エレアントゥス属16

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エレアントゥス属17

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属不明18

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マクラシア属19

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マクラシア属20

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テリチョピリャ属21

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セルトチルム属22

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エビデンドルム属23

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マクラシア属24

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マクラシア属25

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エビデンドルム属26

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エビデンドルム属27

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ステリス属28

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カトレア属29

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エビデンドルム属30

マチュピチュへ向かうインカ道
カパック・ニャンだった山岳インカ道
 クスコ市からの鉄道距離で88キロ地点にあるコリ・ワイラチナというところにかかった橋から、マチュピチュへ向かうインカ道ははじまっている。
 おそらく鉄道敷設などによって壊されたのであろう、オリャンタイ・タンボ方面からここに至るまでのインカ道は見られない。だが、以前はしっかりとした石畳の道が築かれていたに違いない。このコリワイラチナからマチュピチュへと向かう川沿いのびる鉄道の上部や下部のところどころに、インカ道が残されているといわれている。
 こうした川沿いのほかに築かれていた山岳インカ道もまた、マチュピチュ、さらにビルカバンバ山中の奥地に築いた城塞都市、ビトコス、エスピリット・パンパ、チョケキラウとを結んでいたカパック・ニャン(王道、幹線道)でもあった。
 マチュピチュを建設することはインカの一大事業だったかと思うが、起伏の激しい岩山や谷間に築いたこのインカ道づくりもまた一大事業だったに違いない。
 行程としてはコリワイラチナで最初の夜を過ごすとして、そのあと、マチュピチュに至るまでは普通の人の足で2泊3日が必要である。途中にルンクラカイという遺跡があり、そのつぎにサヤクマルカ(断崖の館)という皇帝も宿泊したであろう館の遺跡があらわれる。ここから山稜沿いの道を進んだところに、いつも霧がかかるっていることが多いプヨ・パタマルカ(霧のテラスの館)という遺跡に出る。
 海抜約3600mの高地にあうプヨパタ・マルカからの大パノラマは絶景そのものである。背後にそびえるサルカンタイ峰を仰ぎ見れるだけではなく、遠くにそびえるビルカバンバ山脈第2高峰プマシロ、低地側のキリャバンバ方面からマチュピチュ方面につながる谷間、あるいは鉄道が走るビルカノタ川の谷底、この谷をはさんで前方に立ちふさがる岩山群などが一望できるのだ。
 このインカ道は私の著書『マチュピチュ‐天空の聖殿』にも紹介しているが、ここから石段を急降下すると「永遠の若々しさ」という意味を持つ、緑の雲霧林に囲まれたウニャイ・ワイナの遺跡に出る。そこに至る手前に、急斜面地の森を切り開いてアンデネスの築いたインティ・パタ(太陽のテラス)の遺跡がある。ウニャイワイナ近くを流れる渓流の水は、プヨパタ・マルカに湧き出ている天水が源流となっている。ここからマチュピチュへは2時間ほどで辿り着く。

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88キロ地点の橋

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ワイリャバンバ以後の坂道

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ルンクラカイ

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インカ道沿いの欄

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インカ道沿いの菊の花

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山稜の道

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山稜の雲霧林内の道

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岩山のトンネル道

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サヤク・マルカへの階段

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サヤク・マルカ

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プヨパタ・マルカからサルカンタイ峰

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プヨパタ・マルカからプマシロ峰

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プヨパタ・マルカから見た下方の山

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プヨパタ・マルカのキャンプ地

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プヨパタ・マルカのキャンプ地

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プヨパタ・マルカ

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プヨパタ・マルカからウニャイワイナへ

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インティ・パタ

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ウニャイ・ワイナ

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谷間を走るマチュピチュ行の鉄道